2025年4月の米国生産者物価指数(PPI)は、市場関係者にとって重要なインフレの先行指標です。今回の発表では、総合指数が前月比で0.5%の下落と、予想外の下振れとなりました。本記事では、その要因やセクター別の詳細、今後の注目点を解説します。
📉 総合PPI:0.5%下落、1年ぶりのマイナス成長
- 最終需要における生産者物価指数(季節調整済み)は、4月に前月比**-0.5%**。
- これは2020年4月以来の下落幅であり、前月の横ばい(±0.0%)、2月の+0.2%から急落。
- 年間ベースでは+2.4%と依然プラス圏を維持。
🔍 要因1:サービス価格の大幅な下落
- 最終需要サービス指数:前月比-0.7%(記録開始の2009年12月以来最大の下げ)。
- 特に**貿易サービスのマージンが-1.6%**と急落。卸売・小売の収益性悪化が影響。
- 機械・車両卸売の利益率は-6.1%と大幅減。ポートフォリオ管理や宿泊・航空サービスも下落。
🏭 要因2:財価格は横ばい、ただし分野による差
- 最終需要財指数:横ばい(±0.0%)
- 食品:-1.0%
- エネルギー:-0.4%
- コア財(食品・エネルギー除く):+0.4%
- 鶏卵(-39.4%)、ガソリン、ディーゼルなどが下落。
- 一方、一般機械(+1.1%)、乾燥野菜や電力は上昇。
🔄 コア指数:4年ぶりのマイナス
- 食品・エネルギー・貿易サービスを除いたコアPPI:-0.1%
- これは2020年4月以来初のマイナス。
- 年間では**+2.9%**と堅調だが、インフレ圧力の後退を示唆。
🏗️ 中間需要:原材料価格は弱含み
- 加工品:+0.2%
- 鋼板や機械部品の価格上昇が寄与。
- 未加工品:-3.2%
- 原油や生乳、鶏などの価格下落が主因。
- サービス:±0.0%
- 輸送・倉庫(+0.2〜0.3%)に対し、貿易サービスは-1.2%。
🧱 生産段階別の動き(ステージ分析)
ステージ | 月次変化 | 主な動き |
---|---|---|
ステージ4 | +0.2% | 不動産・機械・電力上昇 |
ステージ3 | -0.4% | 原料・畜産物の下落 |
ステージ2 | -0.8% | 原油・飼料価格の大幅下落 |
ステージ1 | ±0.0% | 財は上昇、サービスは下落で相殺 |
📅 今後の予定と重要なお知らせ
- 次回のPPI発表:2025年6月12日(木)午前8:30(米東部時間)
- BLSは2025年8月より一部FD-ID指標の公表を停止
→ 対象は特定食品・エネルギーを除く分類など。詳細はBLS公式通知ページ参照。
💬 まとめ
4月のPPIは予想外に大きく下落し、特にサービス価格の下落が鮮明でした。インフレ鎮静化の兆しとも取れる反面、需要の弱さも浮き彫りになっています。FRBの政策判断にどのような影響を及ぼすか、今後のインフレ指標にも注目が集まります。

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